この記事では、WF-1000XM4について、およそ半年間の長期使用で得た感想を6,500文字の大作レビューでありのままにお伝えします。
WF-1000XM4の購入を検討している方にとって参考となれば嬉しいです。
■良いところ
- 圧倒的高音質
- 圧倒的ノイズキャンセル
- ラグジュアリー感があふれ出るデザイン
- 小技の効いた快適な操作性
- バッテリー持ち◎
■イマイチなところ
- 外音取り込みは悪くないけどもう一言欲しい
- 接続がたまに安定しない時がある
- 機能がありすぎるぶんシンプルさに欠ける
もくじ
エクステリア
まずは外観から。時勢を反映し、パッケージに派手な装飾はなく、環境に配慮したミニマルなものとなっています。
打って変わって本体は高級感にあふれています。個人的なお気に入ポイントはアクセントの金属部分で、これがあることによってラグジュアリー感がグッと増しているように感じます。
カラーはブラックを選択しましたが、プラチナシルバーもあります。ブラックは非常に良い色なのですが、反面、ゴミが目立ちやすいのが残念です。とくにイヤピース部分のウレタンには耳垢がつきやすいので、気になる人もいるかもしれません。
ケースは前モデルより小型化され、ポケットに突っ込んでもかさばらず、より持ち出しやすくなりました。
充電端子はUSB-Cで加えてワイヤレス充電に対応しております。この点は後ほど詳しく触れたいと思います。
付属品・コーデック・ペアリング
付属品
付属品は以下の通り。
- USB Type-Cケーブル(USB-A – USB-C)
- イヤーピース(S、M、L)
- 充電ケース
充電アダプターは付属せず、付属品は最小限になっています。
コーデック
コーデックとは、Bluetooth通信において音声を圧縮する方式の名前のことで、主に遅延と音質に関係する
WF-1000XM4は、一般的なSBCに加え、iPhoneをはじめとしたApple製品向けのAAC、ソニーの独自規格であるLDACに対応しています。注目したいポイントはやはりLDACです。
LDACはソニーが開発したコーデックで、SBCの最大約3倍の情報量を伝送します。LDACに対応した機器間では、ハイレゾ音源をはじめ、従来の音源もワイヤレスでも高音質に再生することができます。
つまり、ソニー製品と親和性が高く、例えばソニーのLDAC対応のウォークマンやスマートフォンを持っていれば、ハイレゾ音源をワイヤレスで楽しむことができます。
ちなみに私はソニーのウォークマンを所有しており、高音質で音楽を聴きたい時にはLDACでブーストをかけています。
ペアリング
マルチペアリングとは、1台の子機に対し、複数の親機を登録する機能のことで、一度登録さえすれば、面倒なペアリング作業をすることなく、スムーズにペアリングができます。
マルチポイントとは、マルチペアリングと同様に、1台の子機に対し複数の親機を接続する機能ですが、同時に接続が可能な点がマルチペアリングと異なります。
マルチポイントはめちゃくちゃ優秀。例えばスマホとPCで同時に接続する場合、PCで音楽を聞いたりYoutubeを見ていても、スマホに電話がかかってきたら切り替えの必要無しでそのままヘッドホンで電話を受けることができます。
Bluetooth接続をいちいち切り替えなくて良いのは想像以上に快適で、この感動をぜひ味わって欲しいところですが、WF-1000XM4には非搭載なので、この点は少し残念です。
音質
本当に素晴らしい。ソニーの音が好きだったり、ソニーのウォークマンが好きなら買って損はないと思います。
音質の傾向は、幅広いジャンルをカバーするもので、大きな味付けはありませんが、その分どんなジャンルにもマッチします。
ソニーらしい丁寧な低音の作り込み。高音も細部までしっかりと響きます。死角が無いとはこのことを言うのでしょうか?
さらに、WF-1000XM4はアプリでエコライザーが使えるので、好みの音に調整が可能です。ちなみに私はいわゆるパーフェクト設定で運用中です。これによってさらに底上げされた音質で音楽を楽しんでいます。
パーフェクト設定は、どんなジャンルの楽曲にも合うとしてネット上で有名な万能な設定です。参考までに、私が実際にWF-1000XM4のアプリで使用している設定画像を貼っておきます。
ノイズキャンセル・外音取り込み
ノイズキャンセルはAir Pods Proよりも強力
私は主に通勤電車でWF-1000XM4を使っています。音楽を流しながらの場合、Air Pods Proでは電車のアナウンスや人の声がかすかに聞こえてきますが、WF-1000XM4の場合はそれが聞こえてこなくなります。
また、ノイズキャンセルは強力すぎると圧迫感を感じたりしますが、WF-1000XM4ではそういうこともありません。
ノイズキャンセルによって雑音が消えた世界で聴く音楽は本当に心地が良く、それだけで音質自体も劇的に向上したように感じます。今のところ、ノイズキャンセル環境で音楽を聴くならWF-1000XM4が私の最適解です。
外音取り込みは悪くないがAir Pods Proには及ばない
一方で、外音取り込みについてはAir Pods Proに軍配が上がります。特に気になるのは風切り音と電車通過時のバリバリ音です。
風切り音に関しては、Air Pods Proが良すぎると言った方が正解で、まるでイヤホンをつけていないかのような音の取り込みのため、そもそも風切り音が気になることがありません。
WF-1000XM4の場合はそれをイヤホンで通していることを「感じる」ことになりますが、逆にそれが普通であり、個人的には許容範囲かと思います。
最も気になるのが線路沿いを歩いている時です。電車が通ると音の取り込み方を迷うのか、バリバリっとけっこうなノイズが起きる時があります。
ちなみに、WF-1000XM4には風切り音の低減機能がついており、アプリで設定可能です。ただ、これはノイズキャンセル使用時の機能で、外音取り込みモードでは使用できません。
ノイズキャンセルは非常に優秀なので、今後は外音取り込みもアップグレードされると良いなと思います。
装着感
装着感は一般的なカナル型イヤホンに抵抗が無いなら問題ないと思います。
WF-1000XM4のイヤーピースの素材には独自開発のウレタンフォームを採用しており、より遮音性を高めています。このイヤーピースはウレタンのわりには伸縮性は低めで潰さなくても耳に入ります。その分、感触は硬めです。
装着のしやすさは、最初はフィットポイントを探すのに苦労しましたが、そのうち慣れました。長時間リスニングも最初は微妙かなと思っていましたが、こちらも段々慣れました。
つまり「慣れ」が必要なイヤホンということで、その最たる理由がイヤピースかと思います。普通のウレタンと違って硬めなので、いざ耳に入れたら面食らうかもしれません。慣れたら問題ないイヤホンではありますが、装着感にこだわりがあるなら店頭で試着することをおすすめします。
使用感
「使用感」とはつまり「使いやすいかどうか」です。せっかく良い音質のイヤホンでも、接続が切れやすく、音が途切れ途切れになったり、接続するまでに時間がかかったら嫌ですよね。このパートではそんな「使用感」について解説します。
ペアリング
ペアリングは一般的なBluetooth接続方法と同じです。一度接続したらイヤホンをケースから取り出すだけで自動的に接続してくれます。
ちょっとめんどくさいのが違う機器にペアリングを切り替える時です。例えば、iPhoneからiPadに再生元を切り替えたい時、Air PodsならApple製品間で自動で切り替えてくれますが、WF-1000XM4ではできません。Appleに慣れてしまうと少し不便ですが、これはWF -1000XM4に限ったことではないので仕方ないかと思います。逆にAppleが凄すぎるのです。
ただ、解決策としてショートカットアプリの活用があります。iPhoneユーザー向けの話になりますが、ワンタップでWF-1000XM4に接続するショートカットを作成することができます。この方法を活用するだけでWF-1000XM4の快適度がぐっとアップします。
接続安定性
自宅だったり人が少ないところでは接続に問題はありません。ただし、人混みに入ってしまうと接続は怪しくなります。具体的には満員電車の中などです。
頻度としては高いわけではなく、1ヶ月に一度そういう場面に出くわすことがあるかないかですが、いざ出くわすとストレスを感じます。あと、突然片側のイヤホンだけ接続が切れることもあります。そうした時には、仕方なくイヤホンにケースを戻してまた取り出すといったことをしています。
WF-1000XM4はアプリで音質優先モードと接続優先モードを切り替えることができますが、本当に混んでいる時には接続優先モードにしてもあまり効果がありませんでした。
Air Pods Proでも途切れることはありますが、頻度で言えばWF-1000XM4の方が高いです。この辺はソフトのアップデートだったりで改善して欲しいところ。
満員電車の中のような人混みの中での安定性はイマイチではありますが、散歩やカフェ、自宅で使う分には問題なく、電車も通常の人混みなら問題ありません。この辺は自分の使用場面で検討していただければと思います。
バッテリー持ち
バッテリー持ちに関しては、今のところ不満を感じたことはありません。再生時間はノイズキャンセリング使用時でも最大8時間あるので、滅多なことではバッテリー切れにならないでしょう。
AirPods Proは 1 回の充電で最大 4.5 時間の再生なので、2倍近くの差があります。実際にAirPods Proの場合は外出時に途中でバッテリー切れてしまうこともありましたが、WF-1000XM4を使い始めてからそう言った場面に出くわしたことはありません。
さらに、付属ケースで充電が2回分の充電が可能なので、ノイズキャンセル使用で最大24時間、ノイズキャンセルをオフなら最大36時間の音楽再生が可能です。
そしてもうひとつのポイントがワイヤレス充電に対応しているところ。外から帰ってきたら充電スタンドにポンと置いておくだけ充電されるので、意識的に充電を行う必要がありません。もし置くのを忘れても2、3日は余裕で持つので問題ありません。
操作性
ここまでさまざまなWF-1000XM4機能を紹介してきましたが、細かい機能がまだまだあります。ざっと紹介すると以下の通り。
- ヘッドホンを外すだけで音楽を停止する装着検出機能
- ヘッドホンをつけたまま、会話ができる「スピーク・トゥ・チャット」機能
- IPX4相当の防滴性能
- AndroidでもiPhoneでもPCでもマルチペアリング可能
- 音声アシスタント機能に対応(Google アシスタント とAmazon Alexaを搭載、Appleデバイスに接続していればSiriも使用可能)
- リスニング環境を自動で切り替える「アダプティブサウンドコントロール」
- 高精度ボイスピックアップテクノロジーで快適に通話が可能
これだけの機能が備わっていたらさぞ使いやすいと思うかもしれませんよね?確かに細かいところをサポートという面では優れているのですが、実際はおせっかいすぎるところもあります。
例えば「スピーク・トゥ・チャット」。これは自分が声を発すると自動的に音楽再生を止め、外音の取り込みモードに移行するものですが、音楽止めるくらいならワンタップでできるし、もし機能が正常に動かなかった時に慌てる自分を想像すると、使いづらいです。あと、割と感度が良くて、くしゃみ•せき•ため息にも反応するので、私は使っていません。
「アダプティブサウンドコントロール」は一長一短です。ユーザーの動きを検知して、外音取り込みとノイズキャンセルを自動で切り替える機能ですが、精度は割と良いです。ただし、完璧ではなく、モードががちゃがちゃと入れ替わってわずらわしい時があります。
私自身はまだ「アダプティブサウンドコントロール」を使うか試行錯誤中です。モード切り替えは本体をワンタップするだけでもできるのですが、最近たまに反応しなくなる時があって困ることがあります。だったら「アダプティブサウンドコントロール」でも良いかなって感じです。ちなみに私みたいな頻繁なモード切り替えが気になる人は、通知音を消すと快適になります。
地味に重要なのが、イヤホン本体の操作方法。物理ボタン、感圧センサーなど、いろいろな方式がありますが、WF-1000XM4はタッチセンサー方式です。私の好みは圧倒的に感圧センサーで、やっぱり操作したらフィードバックが欲しいんですよね。WF-1000XM4のタッチセンサー感度は比較的良い方だとは思いますが、フィードバックがない分、どうしても感度センサーには見劣りします。
通話性能は普通に良いです。とくにマイクが良くて、AirPods ProよりWF-1000XM4を使って通話をした方が聞き取りやすいと言われました。
まとめ:WF-1000XM4はこんな人におすすめ!
- とにかく高音質のワイヤレスイヤホンを求めている
- ソニーの音が好き
- 強力なノイズキャンセル性能が欲しい
- コンパクトで高級感のある見た目が好み
ワイヤレスイヤホンにも関わらずこれだけの音質を実現したソニーはやっぱりすごい。
ハイレゾ音源をワイヤレスで楽しめるというのもポイントです。そのためにはLDACに対応する音楽プレーヤーも購入する必要がありますが、音楽好きならやってみる価値があると思います。もちろん私はソニーのウォークマンを愛用しております。
2021年11月時点で発売当初に比べると価格も下がってきていて、お買い得感も増しています。Amazonだとさらに値が下がっている時もあるので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
ここまでご覧いただきありがとうございました。ザビ( @zabi_log z.a.bi )でした。